TailscaleやCloudflare Zero Trustなどのゼロトラスト型リモートアクセスについて、従来型VPNとの違いや中小企業での安全な活用方法を説明したビジネス向けアイキャッチ画像
TailscaleやCloudflare Zero Trustは、従来型VPNに代わる新しいリモートアクセスの選択肢です。中小企業でも、ユーザー認証、端末確認、多要素認証、アクセス権限管理を組み合わせることで、必要な人が必要な社内リソースへ安全にアクセスしやすくなります。

外出先や自宅から、社内ファイル、社内PC、NAS、業務システムなどにアクセスしたいという相談は、中小企業でもかなり増えています。

これまでは、そのようなリモートアクセス環境を作る方法として、VPNがよく使われてきました。

ただ最近は、従来型VPNだけでなく、TailscaleCloudflare Zero Trustのような、ゼロトラスト型リモートアクセスも選択肢に入ってきています。

これらは、単に「外部から会社のネットワークに入る」という考え方ではなく、 ユーザー、端末、アクセス先を確認しながら、必要なリソースだけに接続させる仕組みです。

中小企業でも、社内NASへの接続、会社PCへのリモート操作、社内Webシステムへのアクセス、管理画面への安全な接続などでは、十分に検討する価値があります。

この記事では、TailscaleやCloudflare Zero Trustとは何か、従来型VPNとの違い、中小企業で使う場合のメリットと注意点を、実務目線で整理します。


ゼロトラスト型リモートアクセスとは

ゼロトラスト型リモートアクセスとは、ユーザーや端末を最初から信用しすぎず、アクセスのたびに確認しながら、必要な社内リソースへ接続させる考え方です。

従来型VPNでは、一度VPNに接続すると、社内ネットワークの一部に広くアクセスできる設計になっていることがあります。

これは便利な反面、万が一アカウントが悪用された場合や、接続端末がウイルス感染していた場合に、社内ネットワーク全体へ影響が広がるおそれがあります。

一方で、ゼロトラスト型の考え方では、次のような観点でアクセスを制御します。

  • 誰がアクセスするのか
  • どの端末からアクセスするのか
  • どのサービスや機器へアクセスするのか
  • 多要素認証を通過しているか
  • アクセス権限が適切か
  • 退職者や不要アカウントが残っていないか

つまり、会社のネットワーク全体に入れるのではなく、必要な人が、必要な端末から、必要なシステムだけにアクセスできるようにする考え方です。


Tailscaleとは

Tailscaleは、WireGuardをベースにしたゼロトラスト型の接続プラットフォームです。

公式ドキュメントでは、Tailscaleは従来型VPNやSASE、PAMを置き換え、リモートチーム、クラウド環境、オンプレミス環境などを接続するゼロトラスト型のアイデンティティベース接続プラットフォームとして説明されています。1

Tailscaleの特徴は、各端末やサーバーを、安全なプライベートネットワークのようにつなげられることです。

たとえば、次のような用途で使われます。

  • 外出先から社内NASへ接続する
  • 自宅から会社PCや社内サーバーへ接続する
  • 拠点間やクラウド環境を安全につなぐ
  • 特定の端末だけにアクセスを許可する
  • 社内ネットワーク全体ではなく必要な機器だけに接続する

従来型VPNのように、ルーター側の複雑なポート開放や固定IPを前提にしなくても、端末同士を安全につなぎやすい点が特徴です。

ただし、Tailscaleも導入すればそれだけで安全になるわけではありません。

誰にどの機器へのアクセスを許可するか、退職者アカウントをどう削除するか、管理者権限を誰が持つかなど、運用ルールはきちんと決めておく必要があります。


Cloudflare Zero Trustとは

Cloudflare Zero Trustは、Cloudflareが提供するゼロトラスト・SASE系のサービス群です。

Cloudflareの公式ドキュメントでは、Cloudflare Oneは従来の境界型セキュリティをCloudflareのグローバルネットワークで置き換えるクラウドセキュリティプラットフォームとして説明されています。2

その中でも、Cloudflare Accessは、VPNなしで内部リソースへのユーザーアクセスを安全に提供するサービスとして案内されています。3

Cloudflare Zero Trustでは、社内のWebアプリ、管理画面、社内システム、リモートアクセス対象のサービスなどに対して、ユーザー認証やアクセス制御をかけることができます。

たとえば、次のような用途が考えられます。

  • 社内Webシステムを外部から安全に利用する
  • 管理画面や業務アプリへのアクセスを制限する
  • ユーザーごとにアクセスできるアプリを分ける
  • 外部協力会社に限定的なアクセスを許可する
  • VPNを使わずに一部の社内サービスへ接続する

Cloudflare Zero Trustは、ネットワーク全体に接続させるというより、アプリケーション単位でアクセスを管理したい場合に向いています。


従来型VPNとの違い

TailscaleやCloudflare Zero Trustのような仕組みは、従来型VPNと似た用途で使われることがありますが、考え方は少し異なります。

方法 考え方 向いている用途
従来型VPN 外部端末を社内ネットワークへ接続する 社内ネットワーク上の共有フォルダや業務システムを使いたい場合
Tailscale 端末やサーバーを安全なプライベートネットワークのようにつなぐ NAS、社内PC、サーバー、拠点間接続などを安全につなぎたい場合
Cloudflare Zero Trust ユーザー認証を通じて、必要なアプリやサービスだけにアクセスさせる 社内Webシステム、管理画面、業務アプリなどを安全に公開したい場合

従来型VPNは、社内ネットワークに入るための入口を作るイメージです。

Tailscaleは、必要な端末やサーバー同士を安全につなぐイメージです。

Cloudflare Zero Trustは、特定のアプリやサービスへのアクセスを認証・制御するイメージです。

どれが一番優れているというより、会社が何にアクセスしたいのかによって、選ぶべき方法が変わります。


中小企業でTailscaleが向いているケース

Tailscaleは、比較的小規模な環境で、社内PC、NAS、サーバー、管理端末などへ安全に接続したい場合に検討しやすい方法です。

たとえば、次のようなケースです。

  • 外出先から社内NASへ接続したい
  • 自宅から会社のPCへ安全に接続したい
  • 固定IPやルーター設定をなるべく複雑にしたくない
  • 少人数でリモートアクセス環境を整えたい
  • 特定の端末同士だけを安全につなぎたい
  • 拠点間やクラウドサーバーとの接続を簡単にしたい

特に、ルーターのポート開放を避けたい場合や、従来型VPNの管理が負担になっている場合には、かなり有力な候補になります。

一方で、社内の全員に広く使わせる場合や、細かな権限管理が必要な場合は、設計と運用ルールを慎重に決める必要があります。


中小企業でCloudflare Zero Trustが向いているケース

Cloudflare Zero Trustは、社内Webシステムや管理画面、業務アプリへのアクセスを安全に制御したい場合に向いています。

たとえば、次のようなケースです。

  • 社内Webシステムを外出先から使いたい
  • 管理画面へのアクセスを特定ユーザーだけに制限したい
  • 外部協力会社に一部のシステムだけ使わせたい
  • VPNを使わずにアプリ単位でアクセス制御したい
  • ユーザー認証や多要素認証を強化したい
  • アクセスログを確認したい

Cloudflare Zero Trustは、ネットワーク全体ではなく、アプリケーション単位で守りたい場合に相性が良いです。

ただし、DNS、Cloudflare Tunnel、アクセスルール、認証方式など、ある程度は仕組みを理解したうえで設計する必要があります。

小規模な会社でも使える可能性はありますが、設定内容を理解しないまま導入すると、アクセスできない、逆に公開範囲が広すぎる、といった問題が起こることがあります。


ゼロトラスト型リモートアクセスのメリット

TailscaleやCloudflare Zero Trustのようなゼロトラスト型リモートアクセスには、次のようなメリットがあります。

  • 従来型VPNよりもアクセス範囲を絞りやすい
  • ユーザーや端末を確認してから接続させやすい
  • 多要素認証と組み合わせやすい
  • ルーターのポート開放を減らせる場合がある
  • 社内ネットワーク全体ではなく、必要なリソースだけに接続しやすい
  • 外部協力会社や一部ユーザーへの限定的なアクセスを管理しやすい

特に大切なのは、社内ネットワーク全体に入れるのではなく、必要なアクセスに絞りやすいことです。

中小企業でも、退職者アカウントの削除、外部協力会社のアクセス制限、管理画面の保護などで効果が期待できます。


導入時の注意点

ゼロトラスト型リモートアクセスは便利ですが、導入すれば自動的に安全になるわけではありません。

次のような点は、導入前に整理しておきたいところです。

  • 誰が管理者になるか
  • どのユーザーにアクセスを許可するか
  • どの端末を許可するか
  • どの社内リソースに接続させるか
  • 多要素認証を必須にするか
  • 退職者や不要アカウントをどう削除するか
  • 接続ログを誰が確認するか
  • トラブル時に誰が対応するか

ゼロトラスト型の仕組みは、安全性を高めやすい考え方ではありますが、設定を誤ればリスクは残ります。

特に、アカウント管理とアクセス権限設計は重要です。


料金や無料プランだけで判断しない

TailscaleやCloudflare Zero Trustには無料プランや小規模向けプランが用意されている場合があります。

Tailscaleの公式料金ページでは、個人向けの無料プランが案内されており、Cloudflare Zero Trustの料金ページでも、小規模チーム向けの無料プランが案内されています。45

ただし、業務利用では無料かどうかだけで判断するのは危険です。

会社で使う場合は、次の点も確認しておきたいところです。

  • 商用利用に適しているプランか
  • 必要なユーザー数に対応できるか
  • 管理機能やログ確認が十分か
  • サポート体制は必要か
  • 将来的に人数が増えたときに対応できるか
  • 社内ルールや契約上問題がないか

小規模な検証は無料プランで始められる場合がありますが、本格的に業務利用する場合は、管理機能やサポートも含めて検討したほうが安心です。


導入前に整理したいチェックリスト

TailscaleやCloudflare Zero Trustを検討する前に、次の点を整理しておくと判断しやすくなります。

  • 外出先から何にアクセスしたいのか
  • 社内PC、NAS、サーバー、Webシステムのどれが対象か
  • 利用者は何人か
  • 会社支給端末か個人端末か
  • 多要素認証を使えるか
  • 退職者アカウントを削除する運用があるか
  • アクセスログを確認する必要があるか
  • 社内に管理できる人がいるか
  • トラブル時の相談先があるか

ツール名から選ぶのではなく、まず業務上必要なアクセス範囲を明確にすることが大切です。

そのうえで、Tailscaleが合うのか、Cloudflare Zero Trustが合うのか、従来型VPNやクラウド活用で十分なのかを判断しましょう。


よくある失敗例

ゼロトラスト型リモートアクセスでも、次のような失敗には注意が必要です。

  • 仕組みを理解しないまま導入する
  • 誰でも広い範囲にアクセスできる設定にしてしまう
  • 多要素認証を設定していない
  • 退職者アカウントが残ったままになっている
  • 個人端末から自由に接続できる
  • アクセスログを確認していない
  • 管理者アカウントを共有している
  • トラブル時の対応方法が決まっていない

新しい仕組みだから安全、というわけではありません。

どのサービスを使う場合でも、アカウント管理、端末管理、権限管理、ログ確認はセットで考える必要があります。


中小企業では段階的に導入するのがおすすめ

TailscaleやCloudflare Zero Trustを導入する場合、最初から全社展開するよりも、まずは小さく試すほうが現実的です。

たとえば、次のような進め方です。

  1. 外出先からアクセスしたい対象を1つに絞る
  2. 利用者を少人数に限定する
  3. 多要素認証を設定する
  4. アクセスできる範囲を最小限にする
  5. 接続ログや使い勝手を確認する
  6. 問題がなければ対象を少しずつ広げる

特に中小企業では、管理できない範囲まで一気に広げると、トラブル時に対応しきれなくなることがあります。

まずは、NAS接続、社内Webシステム、特定PCへの接続など、用途を限定して検証するのが現実的です。


まとめ

TailscaleやCloudflare Zero Trustは、従来型VPNに代わる新しいリモートアクセスの選択肢です。

Tailscaleは、端末やサーバーを安全なプライベートネットワークのようにつなぎたい場合に向いています。

Cloudflare Zero Trustは、社内Webシステムや管理画面、業務アプリなどへのアクセスを、ユーザー単位で制御したい場合に向いています。

どちらも、社内ネットワーク全体に広く入れるのではなく、必要な人が必要なリソースへアクセスする考え方に近い仕組みです。

ただし、導入すれば自動的に安全になるわけではありません。

アカウント管理、多要素認証、端末管理、アクセス権限、退職者対応、ログ確認などを適切に行う必要があります。

中小企業では、まず何にアクセスしたいのかを整理し、従来型VPN、クラウド活用、Tailscale、Cloudflare Zero Trustのどれが自社に合うのかを慎重に検討しましょう。


IT顧問のITAでは、ゼロトラスト型リモートアクセスの検討を支援しています

IT顧問のITAでは、八王子市を中心に、中小企業・小規模事業所様のIT環境を継続的にサポートしています。

「従来型VPNのままでよいのか不安」
「TailscaleやCloudflare Zero Trustが自社に合うか知りたい」
「外出先から社内NASや社内PCへ安全に接続したい」
「社内にIT担当者がいないため、リモートアクセス環境を相談したい」

このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

VPN、リモートデスクトップ、クラウドストレージ、Tailscale、Cloudflare Zero Trust、アカウント管理、多要素認証、バックアップ、セキュリティ対策まで、 会社の状況に合わせて無理のない形で支援いたします。


参考情報:
1. Tailscale公式ドキュメントでは、Tailscaleをゼロトラスト型のアイデンティティベース接続プラットフォームとして説明しています。
2. Cloudflare One公式ドキュメントでは、Cloudflare Oneを従来の境界型セキュリティを置き換えるクラウドセキュリティプラットフォームとして説明しています。
3. Cloudflare Access公式ページでは、VPNなしで内部リソースへの安全なユーザーアクセスを提供すると説明されています。
4. Tailscale公式料金ページでは、個人向け無料プランなどが案内されています。
5. Cloudflare Zero Trust公式料金ページでは、小規模チーム向け無料プランなどが案内されています。
※サービス内容や料金、仕様は変更される場合があります。実際に導入を検討する際は、必ず各公式サイトの最新情報をご確認ください。

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