
社会保険、労働保険、雇用保険などの手続きでは、これまで紙の書類を作成し、窓口へ提出したり、郵送したりすることが一般的でした。
しかし現在では、行政手続きの多くがオンライン化され、インターネットを使って申請や届出を行えるようになっています。
その代表的な仕組みのひとつが、e-Govです。
e-Govは、国の行政手続きに関する情報を検索したり、各府省が所管する申請・届出をオンラインで行ったりできるサービスです。 e-Gov電子申請では、紙で行っている申請や届出などの行政手続を、インターネットを利用して自宅や職場のパソコンから行えると案内されています。
中小企業でも、総務、経理、労務、人事に関する手続きでe-Govを利用する場面が増えています。
この記事では、e-Govとは何か、中小企業が利用する前に知っておきたい基礎知識、準備するもの、注意点をわかりやすく解説します。
e-Govとは
e-Govとは、政府が提供している電子政府の総合窓口です。
行政機関が提供する情報を検索したり、法令を調べたり、電子申請を行ったりするためのサービスとして利用されています。
中小企業にとって特に関係が深いのは、e-Gov電子申請です。
e-Gov電子申請では、各省庁が所管するさまざまな行政手続について、インターネット経由で申請・届出を行うことができます。
たとえば、社会保険、労働保険、雇用保険などに関する手続きで利用されることがあります。
つまりe-Govは、紙の書類や窓口提出を前提とした手続きを、オンラインで行うための重要な仕組みのひとつです。
e-Govでできること
e-Govには複数のサービスがありますが、中小企業が知っておきたい主な機能は次の通りです。
- 行政手続きの電子申請
- 申請・届出の処理状況確認
- 提出先機関からの通知確認
- 行政情報の検索
- 法令検索
- パブリックコメントの確認
e-Gov電子申請では、申請した手続をマイページ上で管理し、処理状況や提出先機関からの通知を確認できるとされています。
紙で提出していた場合と比べて、手続きの状況をオンラインで確認できる点は大きなメリットです。
中小企業でe-Govが関係する主な場面
中小企業では、日々の業務の中で行政手続きが発生します。
特に、従業員を雇用している会社では、労務関係の手続きが避けられません。
e-Govが関係する可能性がある主な場面には、次のようなものがあります。
- 従業員の入社・退職に関する手続き
- 雇用保険に関する手続き
- 社会保険に関する手続き
- 労働保険に関する手続き
- 事業所に関する届出
- 各種行政手続きのオンライン申請
すべての会社がすべての手続きを自社で行うわけではありません。
社会保険労務士に依頼している会社もあります。
しかし、会社としてe-Govの基本を知っておくことで、社労士とのやり取りや、社内の労務・総務業務の理解がしやすくなります。
e-Govを利用するメリット
1. 窓口に行かずに申請できる
e-Gov電子申請を利用すると、インターネット経由で行政手続きを行えます。
役所や窓口に行く時間を減らせるため、総務・経理・労務担当者の負担軽減につながります。
e-Gov電子申請の案内でも、役所の窓口が閉まっていても、夜間や休日を含めて24時間いつでも申請できることがメリットとして紹介されています。
2. 職場や自宅から手続きできる
e-Govはインターネットを利用するため、職場や自宅などから手続きを行えます。
紙の書類を持参したり、郵送したりする手間を減らせるため、業務効率化につながります。
3. 申請状況を確認しやすい
申請後の状況をオンラインで確認できる点もメリットです。
紙の申請では、現在どの段階まで処理が進んでいるのか分かりにくいことがあります。
e-Gov電子申請では、マイページで申請内容や処理状況、通知を確認できるため、管理しやすくなります。
4. 紙の管理を減らせる
電子申請を活用すると、紙の申請書や控えを減らしやすくなります。
もちろん、必要な書類や控えの保存は必要ですが、電子データとして整理しやすくなる点は中小企業にとってもメリットです。
e-Govを使う前に準備しておきたいもの
e-Gov電子申請を利用するには、事前準備が必要です。
手続き内容や利用方法によって必要なものは異なりますが、一般的には次のような準備が関係します。
- パソコン
- インターネット環境
- e-Govアカウント
- GビズIDなどの認証手段
- 電子証明書が必要な場合の準備
- 申請に必要な会社情報・従業員情報
- 申請データや控えを保存する場所
また、利用する手続きによっては、電子証明書や特定のアプリケーション、ブラウザ設定が関係する場合があります。
申請直前になって準備不足に気づくと、手続きが進まないことがあります。
初めて利用する場合は、余裕を持って準備することをおすすめします。
e-GovアカウントとGビズIDの違い
e-Govを利用する際には、アカウントや認証方法が関係します。
e-Govアカウントは、e-Govのサービスを利用するためのアカウントです。
一方、GビズIDは、複数の行政サービスにログインできる法人・個人事業主向けの共通認証サービスです。
e-Govの開発者向け案内では、API利用ソフトウェアを使って電子申請を行う場合、e-Govアカウント以外にも、GビズIDまたはOpenID Providerのアカウントを利用できると説明されています。
中小企業では、どの手続きにどのアカウントが必要なのか分かりにくいことがあります。
そのため、利用する手続きごとに、事前に必要な認証方法を確認しておくことが大切です。
e-Gov利用時に注意したいこと
1. アカウント管理を曖昧にしない
e-GovやGビズIDなどの行政手続きに関わるアカウントは、会社にとって重要なアカウントです。
誰が管理者なのか、どのメールアドレスで登録しているのか、退職者のアカウントが残っていないかを確認しておく必要があります。
担当者任せにしていると、担当者が退職したときにログインできない、通知メールが届かない、手続き状況が確認できないといった問題が起こる可能性があります。
2. パスワードと多要素認証を適切に管理する
行政手続きに関わるアカウントは、強固なパスワードで管理しましょう。
他のサービスと同じパスワードを使い回すのは避けるべきです。
可能であれば、多要素認証も設定し、不正ログインを防ぐことが大切です。
3. 電子証明書や有効期限を確認する
手続きによっては、電子証明書が必要になる場合があります。
電子証明書には有効期限があり、期限切れになると申請できないことがあります。
また、パソコンの入れ替えや担当者変更の際に、電子証明書の管理が不明になることもあります。
申請が必要なタイミングで慌てないよう、電子証明書の有無、有効期限、管理者を確認しておきましょう。
4. 申請控えや公文書の保存場所を決める
電子申請では、申請データ、到達番号、控え、公文書などを適切に管理する必要があります。
担当者のパソコンだけに保存していると、パソコン故障や担当者変更の際に確認できなくなることがあります。
会社として、保存場所やフォルダ構成、ファイル名の付け方を決めておくと安心です。
5. ブラウザやパソコン環境の影響を受けることがある
電子申請では、ブラウザ、アプリ、電子証明書、セキュリティソフトなどの影響を受けることがあります。
申請直前にパソコンの不具合が出ると、手続きが進まなくなる可能性があります。
重要な申請を行う場合は、事前にログイン確認や動作確認を行い、余裕を持って準備することが大切です。
中小企業でよくある困りごと
e-Govのような電子申請は便利ですが、初めて利用する中小企業では、次のような困りごとが起こりやすいです。
- どのアカウントでログインすればよいかわからない
- 担当者が変わり、登録メールアドレスがわからない
- 電子証明書の有効期限が切れている
- 申請に必要な書類や情報がそろっていない
- 公文書や控えの保存場所が決まっていない
- ブラウザやアプリの設定でつまずく
- 社労士や外部担当者との役割分担が曖昧
こうした問題は、申請そのものの知識だけでなく、パソコン管理、アカウント管理、ファイル管理にも関係します。
そのため、e-Govの利用は単なる行政手続きではなく、会社のIT管理の一部として考えることが大切です。
社労士に依頼している会社でも基礎知識は必要
社会保険や労働保険の手続きを社会保険労務士に依頼している会社も多いと思います。
その場合でも、会社側がe-Govの基本を知っておくことは無駄ではありません。
なぜなら、会社側でも次のような対応が必要になることがあるからです。
- 必要情報の準備
- 従業員情報の確認
- 電子証明書やGビズIDの管理
- 申請結果や公文書の確認
- 社労士との連絡・共有
すべてを自社で申請しなくても、仕組みを理解しておくことで、外部専門家とのやり取りがスムーズになります。
e-Govを安全に使うための基本対策
e-Govを安全に使うためには、次のような基本対策を行いましょう。
- 管理者アカウントを明確にする
- 登録メールアドレスを会社で管理する
- パスワードを使い回さない
- 多要素認証を設定する
- 電子証明書の有効期限を管理する
- 申請控えや公文書の保存場所を決める
- 担当者変更時の引き継ぎ手順を決める
- 重要な申請前には動作確認を行う
これらは難しい対策ではありません。
しかし、事前に決めておかないと、担当者変更や申請期限前に困ることがあります。
e-Govは業務効率化だけでなく、IT管理の見直しにもつながる
e-Govを利用すると、行政手続きのオンライン化による業務効率化が期待できます。
しかし、それと同時に、会社のIT管理を見直すきっかけにもなります。
たとえば、次のような点です。
- 誰が重要アカウントを管理しているか
- 会社のメールアドレスを適切に使っているか
- 重要なデータの保存場所が決まっているか
- パスワード管理ができているか
- 担当者変更時の引き継ぎができるか
- パソコン環境が電子申請に対応できているか
電子申請を安定して利用するためには、パソコン、アカウント、メール、保存先、バックアップまで含めた管理が必要です。
その意味で、e-Govの利用は中小企業のIT管理を整える良いきっかけになります。
まとめ
e-Govは、国の行政手続きに関する情報を検索したり、電子申請を行ったりできる政府のサービスです。
中小企業では、社会保険、労働保険、雇用保険などの手続きで関係する場面があります。
e-Gov電子申請を活用すると、窓口に行かずに申請できる、職場や自宅から手続きできる、処理状況を確認しやすいといったメリットがあります。
一方で、アカウント管理、GビズID、電子証明書、申請控えの保存、パソコン環境、担当者変更時の引き継ぎなどには注意が必要です。
e-Govは便利な仕組みですが、ただ使うだけでなく、会社として安全に管理できる体制を整えることが大切です。
これから電子申請を活用する中小企業では、行政手続きの効率化とあわせて、IT管理の見直しも進めていきましょう。
IT顧問のITAでは、中小企業の電子申請・IT管理を支援しています
IT顧問のITAでは、八王子市を中心に、中小企業・小規模事業所様のIT環境を継続的にサポートしています。
「e-GovやGビズIDの管理が不安」
「電子申請に使うパソコン環境を確認したい」
「申請控えや公文書の保存場所を整理したい」
「社内にIT担当者がいないため、アカウント管理やバックアップも相談したい」
このようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
パソコン管理、アカウント管理、バックアップ、セキュリティ対策、電子申請に関するIT環境の確認まで、 会社の状況に合わせて無理のない形でサポートいたします。

