
社内連絡やお客様対応で、LINEをそのまま使っている中小企業は少なくありません。 ただ、業務で使う場合は「便利かどうか」だけでなく、会社として管理できるか、退職者が出たときに引き継げるか、過去のトーク履歴を確認できるかも見ておきたいところです。
この記事では、LINE・LINE WORKS・Slackの違いを、中小企業の実務目線で整理していきます。 特に、業務利用でよく問題になる「トーク履歴の保存期間」についても触れていきます。
この記事でわかること
- LINE・LINE WORKS・Slackの基本的な違い
- 中小企業の業務連絡に向いているサービス
- トーク履歴を長く残したい場合の考え方
- 個人LINEを業務利用する場合の注意点
LINE・LINE WORKS・Slackの違い
LINE・LINE WORKS・Slackは、いずれもチャットで連絡できるサービスです。 ただし、想定されている使い方はかなり違います。
ざっくり分けると、LINEは個人向け、LINE WORKSは会社用のLINE、Slackは社内情報共有やプロジェクト管理に強いビジネスチャットです。
| 項目 | LINE | LINE WORKS | Slack |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 個人連絡、家族・友人・お客様との簡易連絡 | 会社・店舗・現場向けの業務連絡 | 社内チーム、プロジェクト、情報共有 |
| 操作感 | もっともなじみやすい | LINEに近く、導入しやすい | 慣れは必要だが、情報を整理しやすい |
| 管理者機能 | 弱い | 強い | 強い |
| 退職者対応 | 個人アカウントに依存しやすい | 会社アカウントとして停止・管理しやすい | 会社アカウントとして停止・管理しやすい |
| 外部との連絡 | 個人LINE同士の連絡に強い | LINEユーザーや外部LINE WORKSユーザーとの連携に強い | 外部パートナーを招待して共同作業しやすい |
| 情報整理 | トークが流れやすい | 業務連絡として管理しやすい | チャンネル・スレッド・検索で整理しやすい |
LINEは個人向け、業務利用では管理面に注意
LINEは多くの人が使い慣れており、連絡手段としてかなり便利です。 お客様とのちょっとした連絡や、個人事業主の簡易的なやり取りであれば、LINEで足りる場面もあります。
ただ、会社の正式な業務連絡として使う場合は、注意しておきたい点があります。 社員個人のLINEアカウントにお客様とのやり取りが残るため、会社として履歴を管理しにくくなります。
- 退職した社員のLINEに、お客様とのやり取りが残ってしまう
- 会社側でトーク履歴を一元管理しにくい
- 誰がどのお客様と連絡しているか把握しにくい
- スマートフォンの故障・紛失・機種変更で履歴確認が難しくなることがある
- 写真・動画・ファイルが後から確認できないことがある
業務利用での注意点:
個人LINEは便利ですが、会社として証跡を残したり、退職者対応まで考えたりする用途には向いていません。
お客様対応や重要な業務連絡を個人LINEだけに頼っていると、後から経緯を確認できなくなることがあります。
LINE WORKSは会社用のLINE、現場系・非IT系の会社に向いている
LINE WORKSは、LINEに近い感覚で使える業務用チャットです。 普段からLINEに慣れている社員が多い会社でも導入しやすく、現場スタッフ、店舗、建設業、設備業、介護、運送業などでも使いやすいサービスです。
LINE WORKSでは、会社側がアカウントを管理できます。 そのため、社員が退職した場合でも、アカウントの停止や権限管理を会社側で進めやすくなります。
LINE WORKSが向いている会社
- 社員が普段からLINEに慣れている
- 現場スタッフとの連絡が多い
- お客様や取引先が通常のLINEを使っている
- 個人LINEではなく、会社管理のアカウントで連絡したい
- 退職者が出たときにアカウントの停止や権限管理をしたい
特に、外部のLINEユーザーと連絡しやすい点は、LINE WORKSのわかりやすい特徴です。 会社側はLINE WORKSを使い、お客様側は使い慣れているLINEを使う、といった形にしやすくなります。
Slackは社内情報共有に強く、案件管理やナレッジ化に向いている
Slackは、社内の情報共有やプロジェクト管理に強いビジネスチャットです。 LINEのグループトークのようにひとつの場所で話題が混ざるのではなく、チャンネル単位で会話を整理できます。
たとえば、顧客別、案件別、部署別、社内連絡用、障害対応用など、目的ごとにチャンネルを分けておくと、あとから情報を探しやすくなります。
Slackが向いている会社
- 案件ごとにやり取りを整理したい
- 社内の情報共有やナレッジ化を重視したい
- リモートワークや複数拠点での連携がある
- Google Drive、Notion、GitHubなど外部ツールと連携したい
- IT、Web、制作、開発、管理部門など、複数の部門で用途を分けて使いたい
一方で、LINEに慣れている人にとっては、Slackは少し分かりにくく感じる場合があります。 そのため、現場スタッフが多い会社ではLINE WORKS、社内プロジェクトやナレッジ共有を重視する会社ではSlack、という使い分けが現実的です。
トーク履歴をサーバーに長く残せるのはどれか
業務利用では、トーク履歴をどう残すかも大事なポイントです。 「後から確認できるか」「会社として証跡を残せるか」「退職後も履歴を追えるか」は、単なる便利さ以上に確認しておきたい部分です。
| サービス | トーク履歴の長期保存 | 実務上の評価 |
|---|---|---|
| LINE | 会社管理の長期保存には不向き | 個人利用向けなので、業務証跡や退職者対応には弱い |
| LINE WORKS | アーカイブ機能により、トークデータを最長10年まで保存可能 | 会社管理の連絡基盤として使いやすい |
| Slack | 有料プランでは、デフォルトでワークスペース存続期間中データを保持 | 長期の情報共有・検索・ナレッジ化に強い |
そのため「サーバー側に無期限に近い形で残したい」という観点で見ると、Slackの有料プランは有力な候補になります。 ただし、厳密には永久保証ではなく、契約やワークスペース、管理者の保存設定が維持されていることが前提です。
LINE WORKSもトークの保存期間は無期限ではありませんが、アーカイブ機能を使えば、トークデータを最長10年まで保存できます。 監査やトラブル対応に備えて一定期間の証跡を残したい会社には、有力な選択肢のひとつです。
ツール選定のポイント:
「とにかく長く残したい」ならSlack有料プラン、「LINEに近い操作感で社内管理したい」ならLINE WORKS、「個人間の気軽な連絡だけ」ならLINE、という考え方が分かりやすいです。
中小企業ではどれを選ぶべきか
中小企業で業務チャットを選ぶときは、機能の多さだけで判断しないほうが現実的です。 実際にツールを使う社員のITリテラシー、現場の働き方、お客様との連絡方法、会社として残したい情報の内容によって、合うサービスは変わります。
お客様との気軽な連絡が中心ならLINE
個人事業主やごく小規模なやり取りで、厳密な履歴管理まで求めない場合はLINEでも対応できます。 ただし、重要な業務連絡や顧客対応をすべてLINEに頼る運用は避けたほうが安心です。
現場・店舗・非IT系の会社ならLINE WORKS
社員がLINEに慣れていて、会社管理のアカウントで業務連絡を行いたい場合はLINE WORKSが合いやすいです。 退職者の対応や外部LINEユーザーとの連絡を考えても、中小企業が検討しやすい選択肢です。
社内情報共有や案件管理を重視するならSlack
顧客別・案件別・部署別に情報を整理したい場合はSlackが合いやすいです。 過去のやり取りを検索しながら、社内のナレッジとして蓄積していきたい会社には使いやすいです。
個人LINEで業務連絡を続けるリスク
多くの中小企業では、すでにLINEで業務連絡をしているケースがあります。 すぐに大きな問題が起きるとは限りませんが、次のようなリスクは先に把握しておきたいところです。
- 担当者の退職後にお客様とのトーク履歴が会社に残らない
- スマートフォンの故障や紛失で重要な履歴が確認できなくなる
- 会社がトーク内容を把握・管理しにくい、またはできない
- 誰がどの案件を対応しているか見えにくい、または見えない
- 写真・動画・ファイルが後から確認できないことがある
業務連絡は、単に「連絡できればよい」で済むものではありません。 後から確認できること、会社として管理できること、担当者が変わっても引き継げることまで考えておきたいところです。
まとめ
LINE・LINE WORKS・Slackは、それぞれ向いている用途が違います。 個人利用の延長であればLINEでも十分ですが、会社として業務連絡を管理したい場合は、LINE WORKSやSlackを検討したほうが安心です。
- LINE:個人連絡には便利だが、会社管理には不向き
- LINE WORKS:LINEに近い操作感で、現場系・非IT系の中小企業に向いている
- Slack:社内情報共有、プロジェクト管理、長期的なナレッジ化に強い
特に、トーク履歴を長く残したい、退職者の対応をきちんとしたい、会社として情報を管理したい場合は、個人LINEだけに依存しない運用を考えておきたいところです。
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