物価高で経費が増える中、まず見直したいのが毎月のIT関連費用です。パソコン、クラウドサービス、複合機、セキュリティ、バックアップなどを整理することで、無理なくコスト削減と業務効率化を進めやすくなります。

ここ1年ほど、さまざまな経費の上昇を実感している中小企業の経営者様は多いのではないでしょうか。

電気代、ガソリン代、仕入価格、物流費、人件費、保険料、各種サービス利用料など、毎月の固定費や変動費が少しずつ増えています。

一方で、売上や利益が同じペースで増えているとは限りません。むしろ、売上は横ばいなのに経費だけが増え、以前よりも利益が残りにくくなっている会社も少なくないと思います。

こうした状況では、単に「売上を増やす」だけでなく、会社の中にある無駄なコストを見直しておきたいところです。

その中でも、意外と見落とされやすいのがITコストです。

パソコン、インターネット回線、サーバー、NAS、クラウドサービス、セキュリティソフト、複合機、メール、ホームページ、業務ソフトなど、今の会社経営には多くのIT費用が関わっています。

ひとつひとつは大きな金額でなくても、毎月の支払いが重なると、無視できない固定費になります。

この記事では、中小企業が物価高の中で経費を抑えるために、ITコストをどのように見直せばよいのかを、実務で確認する順番に近い形で整理します。


ITコスト削減は、単なる節約ではありません

ITコスト削減というと、まず「安いサービスに切り替える」「機器を買わない」「契約を減らす」といった方法を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、不要な契約を減らすことには意味があります。

ただし、ITコスト削減でまず押さえておきたいのは、必要なものまで削らないことです。

注意したいポイント

先に考えたいのは、会社に必要なIT環境は維持しながら、重複している契約、使っていないサービス、過剰な機器、非効率な運用を整理することです。

たとえば、セキュリティ対策やバックアップまで削ってしまうと、万が一のトラブル時に、かえって大きな損失につながることがあります。

一時的に月額費用を下げることができても、データ消失、業務停止、情報漏えいなどが起きれば、削減した金額以上の損害が出ることもあります。

そのため、ITコスト削減では「安くすること」だけを目的にするのではなく、会社の業務に必要なものと不要なものを分けて、全体のバランスを見直しておきたいところです。


まず確認したいのは、毎月何にいくら払っているか

中小企業でよくあるのが、IT関連の契約が社内で一覧化されていないことです。

  • インターネット回線はどこと契約しているのか。
  • メールやサーバーの費用はいくらか。
  • セキュリティソフトは何台分契約しているのか。
  • Microsoft 365やGoogle Workspaceのアカウントは何人分あるのか。
  • 使っていないクラウドサービスに毎月費用が発生していないか。
  • 複合機や電話、ネットワーク機器の保守費用は妥当か。

こうした内容が整理されていないと、どこに無駄があるのか判断しにくくなります。

ITコスト削減の最初の一歩は、現在の契約内容を見える化することです。

請求書、クレジットカード明細、口座振替、リース契約、保守契約などを確認し、IT関連の支払いを一覧にまとめます。

この作業をするだけでも、「このサービスはもう使っていない」「同じような機能のサービスを二重に契約している」「退職者のアカウントが残ったままになっている」といった無駄が見つかることがあります。

ITコストを見直すときの基本的な考え方

いきなり新しいシステムを入れるよりも、まずは現在の契約、機器、アカウント、運用ルールを確認するほうが現実的です。今あるものを整理するだけでも、固定費や作業時間の削減につながることがあります。


中小企業が見直したいITコスト削減の主なアプローチ

見直し項目 主な確認ポイント 期待できる効果
契約・アカウント 退職者アカウント、使っていないクラウドサービス、重複契約 毎月の固定費削減、セキュリティリスクの低減
PC・周辺機器 標準機種、必要スペック、入れ替え時期、購入タイミング 機器購入費の最適化、故障による業務停止の防止
複合機・印刷 印刷枚数、カラー印刷、PDF保存、紙の保管 印刷費、郵送費、保管スペースの削減
NAS・クラウド・共有フォルダ 保存場所、フォルダ構成、バックアップ対象、アクセス権限 探す時間の削減、データ紛失リスクの低減
業務ソフト 既存機能の活用状況、二重入力、未使用機能、契約内容 ソフト費用の最適化、事務作業の効率化
社内連絡 電話、メール、チャット、紙メモ、口頭連絡の使い分け 確認作業の削減、伝達ミスの防止
AI活用 メール文面、議事録、マニュアル、記事、資料作成 文書作成時間の短縮、管理者の負担軽減

アプローチ1:使っていない契約やアカウントを整理する

まず手をつけやすいのは、使っていない契約やアカウントの整理です。

たとえば、以下のようなものです。

  • 退職者のメールアカウント
  • 使っていないMicrosoft 365やGoogle Workspaceのライセンス
  • 以前契約したまま放置されているクラウドサービス
  • 重複しているセキュリティソフト
  • 利用頻度の低い有料アプリ
  • 古いホームページ関連サービス
  • ほとんど使っていないレンタルサーバー
  • 必要以上に高いプランのネット回線や電話契約

月額1,000円、2,000円の契約でも、複数積み重なると年間では大きな金額になります。

特にクラウドサービスは、導入したときは便利でも、時間が経つと使われなくなることがあります。ところが、解約されないまま毎月費用だけが発生しているケースもあります。

まずは、現在使っているサービスと使っていないサービスを分けておきたいところです。

これにより、毎月の固定費削減につながります。
また、使っていないアカウントを削除することで、セキュリティリスクを下げる効果もあります。

アプローチ2:パソコンや周辺機器の買い方を見直す

パソコンや周辺機器の購入方法にも、コストを見直せる余地があります。

中小企業では、必要になったタイミングでその都度パソコンを購入していることがよくあります。しかし、この方法だと、価格が高い時期に急いで購入することになったり、必要以上に高性能な機種を選んでしまったりすることがあります。

パソコンは、あらかじめ社内の標準機種や必要スペックを決めておくと、無駄な出費を抑えやすくなります。

たとえば、事務作業中心の社員に高性能なクリエイター向けPCは必要ありません。逆に、処理が重い業務をする社員に低性能なPCを渡すと、作業効率が落ちて人件費の無駄につながります。

PC選定で大切なこと

見ておきたいのは、単に安いPCかどうかではなく、業務に合ったPCかどうかです。

また、パソコンの入れ替え時期をあらかじめ管理しておけば、故障してから慌てて購入する場面を減らせます。キャンペーン時期にまとめて購入したり、優先順位をつけて計画的に入れ替えたりすることで、購入コストとトラブル対応の両方を抑えやすくなります。

結果として、機器購入費の最適化、急な故障による業務停止の防止、社員の作業効率向上につながります。

アプローチ3:複合機・印刷・紙の運用を見直す

意外と大きなコストになりやすいのが、複合機、印刷、紙の運用です。

請求書、見積書、社内資料、申請書類、FAX、控え書類などを、何となく紙で出している会社は少なくありません。

もちろん、業務上どうしても紙が必要な場面はあります。
ただし、すべてを紙で残す必要があるとは限りません。

たとえば、以下のような見直しが考えられます。

  • 請求書や見積書をPDFで保存する
  • 社内確認用の資料は印刷せず共有フォルダで確認する
  • FAXで届いた書類をスキャンしてデータ管理する
  • 複合機の印刷枚数を確認する
  • カラー印刷の利用ルールを決める
  • 紙で保管している書類を段階的にデータ化する

紙のコストは、用紙代だけではありません。
トナー代、複合機のカウンター料金、ファイル保管場所、書類を探す時間、郵送費なども関係します。

紙の運用を少し見直すだけでも、印刷費や事務作業の負担を減らせることがあります。

結果として、印刷費、郵送費、保管スペース、書類を探す時間の削減につながります。

アプローチ4:NAS・クラウド・共有フォルダを整理する

社内データの管理方法も、コスト削減に関係します。

たとえば、ファイルの保存場所がバラバラになっていると、同じ資料を何度も作ったり、最新版がわからず確認に時間がかかったりします。

また、各社員のパソコン内、NAS、USBメモリ、クラウドストレージ、メール添付などにデータが分散していると、バックアップの対象も不明確になります。

この状態では、必要なデータを探すだけで時間がかかります。
時間がかかるということは、見えにくい人件費が発生しているということです。

社内の共有フォルダやNASを整理し、保存場所とルールを決めることで、日常業務の無駄を減らしやすくなります。

たとえば、以下のような整理です。

  • 顧客別、案件別、年度別にフォルダを整理する
  • 古いデータと現在使用中のデータを分ける
  • 重要データの保存場所を明確にする
  • バックアップ対象を整理する
  • アクセス権限を見直す
  • どこに保存すべきか社内ルールを決める

このような整理は、直接的な月額費用の削減だけでなく、社員の探す時間、確認する時間、作り直す時間を減らす効果があります。

結果として、事務作業時間の削減、データ紛失リスクの低減、バックアップ管理の明確化につながります。

アプローチ5:業務ソフトやクラウドサービスを見直す

会計ソフト、販売管理ソフト、給与ソフト、勤怠管理、請求書発行、顧客管理など、業務ソフトも見直し対象になります。

ただし、ここで注意したいのは、安易に新しいシステムへ入れ替えないことです。

今使っているソフトに不満があるからといって、すぐに別のクラウドサービスへ乗り換えると、移行作業、操作教育、データ整理、運用変更に思った以上の手間がかかることがあります。

結果として、月額費用は下がっても、現場の負担が増えてしまう場合があります。

新しいシステムへ入れ替える前に確認したいこと

そこで、まず確認したいのは、今のソフトを本当に使いこなせているかです。

たとえば、すでに契約しているソフトの中に、請求書発行、データ連携、帳票出力、CSV取込、クラウド共有などの機能があるのに、使われていないことがあります。

新しいシステムを入れる前に、既存ソフトの機能を確認するだけでも、業務効率が上がる場合があります。

結果として、二重入力の削減、ソフト費用の最適化、事務作業の効率化につながります。

アプローチ6:メール・チャット・社内連絡の無駄を減らす

社内の連絡方法も、見直しておきたい項目です。

中小企業では、電話、メール、LINE、紙メモ、口頭連絡などが混在していることがあります。

この状態では、「誰に伝えたかわからない」「言った言わないになる」「同じ確認を何度もする」といった無駄が発生します。

もちろん、すべてをチャットツールに変える必要はありません。

まず決めたいのは、連絡の種類ごとに使い分けを決めることです。

たとえば、急ぎの連絡は電話、記録を残す連絡はメール、社内の簡単な確認はチャット、正式な依頼は指定のフォームや共有フォルダに残す、といった形です。

連絡方法を整理すると、確認漏れや二度手間が減ります。

結果として、確認作業の削減、伝達ミスの防止、社内コミュニケーションの効率化につながります。

アプローチ7:AIを使って、事務作業や文章作成の時間を減らす

最近は、AIを使った業務効率化にも関心が高まっています。

ただし、中小企業でAIを使う場合は、最初から難しい使い方をしなくても大丈夫です。

まずは、日常的に時間がかかっている文章作成や整理作業から始めるのが現実的です。

たとえば、以下のような使い方です。

  • メール文面の下書き
  • お客様向け案内文の作成
  • 議事録の整理
  • 社内マニュアルの作成
  • よくある質問の整理
  • ホームページ記事の下書き
  • 提案書や報告書のたたき台作成
  • 長い文章の要約

これらは、すぐに大きな売上につながるものではないかもしれません。

しかし、社長や事務担当者が毎回悩みながら書いていた文章を短時間で作れるようになれば、日々の作業時間を減らすことができます。

AI活用で注意したいこと

ただし、AIを使う際は、顧客情報、個人情報、契約内容、機密情報を安易に入力しないルールを決めておきたいところです。

便利だからこそ、安全な使い方を決めたうえで導入するほうが安心です。

結果として、文書作成時間の短縮、社内資料作成の効率化、社長や管理者の負担軽減につながります。


ITコスト削減で期待できる効果

ITコスト削減で期待できる効果は、単に毎月の支払いを下げることだけではありません。

主な効果は以下の通りです。

  • 使っていない契約の解約による固定費削減
  • アカウント整理による無駄なライセンス費用の削減
  • PC購入や入れ替え計画の最適化
  • 印刷費、郵送費、紙の保管コスト削減
  • データを探す時間、確認する時間の削減
  • 二重入力や手作業の削減
  • バックアップやセキュリティの見直しによるトラブル予防
  • 社内のITに詳しい人への負担軽減
  • 社長や管理者が本来の業務に使える時間の確保

特に中小企業では、月額費用だけでなく「人の時間」が大きなコストになっています。

資料を探す時間、同じ内容を何度も入力する時間、トラブル対応に追われる時間、誰かに確認する時間。

こうした時間を減らすことも、コスト削減の一部です。

まずは大きなシステム導入より、現状把握から始める

物価高や人件費の上昇が続く中で、中小企業にとってコスト削減は後回しにしにくいテーマです。

ただし、いきなり大きなシステムを導入したり、高額なクラウドサービスに乗り換えたりする必要はありません。

まずは、今のIT環境を整理することから始めるのが現実的です。

  • 何にいくら払っているか
  • どの契約が必要か
  • どのサービスが使われていないか
  • どの作業に時間がかかっているか
  • どの機器が古くなっているか
  • バックアップやセキュリティに問題がないか

これらを確認するだけでも、改善のヒントは見つかります。

ITは、使い方を間違えるとコストになります。
しかし、正しく見直せば、経費削減と業務効率化の両方に役立ちます。

物価高で経費が増えている今こそ、会社のIT環境を一度見直してみる意味は十分にあります。

ITAでは、中小企業のITコスト削減を現場目線で支援します

株式会社ITAでは、八王子市および近隣地域の中小企業様向けに、IT環境の見直し、ITコスト削減、業務効率化、セキュリティ対策の支援を行っています。

パソコン、ネットワーク、NAS、クラウドサービス、メール、セキュリティ、バックアップ、業務ソフトなどを確認し、現在の環境で無駄になっている費用や改善できる運用を整理します。

新しいシステムを売り込むことを目的にするのではなく、まずは今ある環境を確認し、必要なものと不要なものを分けるところから支援します。

  • 「毎月のIT費用が適正かわからない」
  • 「使っていないサービスがありそう」
  • 「パソコンやクラウドの契約を整理したい」
  • 「経費を抑えながら業務効率も上げたい」
  • 「社内にIT担当者がいないので相談できる相手がほしい」

このようなお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。

物価高の時代だからこそ、ITをうまく見直すことで、会社の負担を少しずつ軽くしていくことができます。

中小企業向けのIT用語辞典を紹介するバナー。