
DeepLの業務利用では、翻訳の便利さだけでなく、無料版に入力してよい情報と、重要文書を誰が確認するかを先に決めることが重要です。
DeepLは、英文メール、海外製品のマニュアル、資料、Webサイトなどの翻訳に役立ちます。一方、顧客情報や契約情報を扱う場合は、無料版とDeepL Proの違いや情報管理上の注意点を理解して使う必要があります。
海外の取引先から英語のメールが届いたときや、海外製品のマニュアルを確認したいときなど、翻訳ツールを使う場面は増えています。
その中で広く使われているのが、AI翻訳サービスのDeepLです。日本語と英語だけでなく複数の言語に対応し、ビジネスメール、資料、マニュアル、Webサイトなど、業務で扱う文章の翻訳にも利用できます。
ただし、便利だからといって、会社の情報や顧客情報を何でもそのまま入力してよいわけではありません。
この記事では、DeepLの業務利用でできること、無料版とDeepL Proの違い、ChatGPTとの使い分け、安全に活用するための社内ルールを、中小企業向けに実務目線で解説します。
DeepLとは?業務利用でできること
DeepLは、AIを使って文章を別の言語へ翻訳できるサービスです。単語を一つずつ置き換えるだけでなく、文章全体の流れを見ながら、自然な表現に近づけて翻訳する点が特徴です。
通常のテキスト翻訳に加えて、文書ファイルの翻訳、用語の統一、文章表現の改善、システムへの翻訳機能の組み込みなどにも対応しています。
| 機能 | 業務での使い方 |
|---|---|
| テキスト翻訳 | メールや文章を別の言語へ翻訳する |
| 文書翻訳 | Word、PDF、PowerPoint、Excelなどのファイルを翻訳する |
| 用語集 | 会社名、商品名、専門用語などの訳語を統一する |
| DeepL Write | 英文などの文章表現や文体を整える |
| DeepL API | 自社システムやWebサービスへ翻訳機能を組み込む |
| DeepL Voice | 会議や会話の音声翻訳に利用する |
普段の業務で取り入れやすいのは、英文メールや海外資料の翻訳です。たとえば、海外メーカーのサポート窓口へ問い合わせる場合、日本語で伝えたい内容を書いてDeepLで英訳すれば、英文作成の負担を減らせます。
海外製品のマニュアルや仕様書を読むときも、まず全体の意味を早く把握するための下訳として活用できます。
DeepLを業務で使うメリット
DeepLを業務で使う主なメリットは、翻訳結果が比較的自然で読みやすく、メールや資料を確認する時間を短縮しやすいことです。
特に、英語を日本語へ翻訳する際、直訳では読みにくくなる文章でも、文脈に合わせた表現になりやすい傾向があります。ただし、翻訳結果が常に正確であることを保証するものではありません。
用語集で会社独自の表現を統一できる
会社名、商品名、サービス名、専門用語などは、翻訳のたびに訳し方が変わると資料全体が分かりにくくなります。用語集へ希望する訳語を登録しておけば、社内資料やWebサイト、製品説明などの表記をそろえやすくなります。
用語集へ登録すると便利な言葉
- 会社名、商品名、サービス名
- 専門用語や業界特有の言い回し
- 部署名、役職名、製品型番
- 翻訳せずに原文のまま使いたい固有名詞
海外取引や外国人スタッフへの対応がある会社では、よく使う言葉の訳し方を先に整理しておくと、翻訳後の修正を減らせます。
DeepL無料版を業務利用するときの注意点
公開済みの一般的な文章や、機密情報を含まない短い英文メールの確認であれば、無料版でも役立ちます。ただし、業務で利用する場合は、入力・アップロードする情報に注意が必要です。
無料版へ機密情報・個人情報を入力しない
DeepLの無料サービス利用規約では、入力・アップロードした文章や文書、その翻訳結果などを、一定期間、ニューラルネットワークやアルゴリズムの学習・改善のために処理する場合があるとされています。また、機密情報や個人情報を含む内容を無料サービスで処理しないよう明記されています。
そのため、顧客情報、契約書、見積書、従業員情報、未公開資料などを、匿名化せずに無料版へ入力しない運用が必要です。
※2026年8月時点の情報です。最新の条件は、DeepL公式の無料サービス利用規約をご確認ください。
| 無料版への入力を避けたい情報 | 理由 |
|---|---|
| 顧客情報・従業員情報 | 氏名、会社名、連絡先などの個人情報を含むため |
| 契約書 | 機密情報や法的な内容を含むため |
| 見積書・請求書 | 金額、取引条件、顧客名などを含むため |
| 社内資料・未公開資料 | 経営情報や公開前の情報を含む可能性があるため |
| システム仕様書 | 業務フロー、認証情報、セキュリティ情報を含む可能性があるため |
問題になりやすいのは、社内ルールがないまま、社員がそれぞれの判断で機密情報を入力してしまうことです。これはDeepLだけでなく、ChatGPTなどの生成AIサービスにも共通します。
AIサービス全般の情報管理については、AIツールを業務で使う前に確認すべき設定と失敗パターンもご確認ください。
無料版とDeepL Proの違い
業務で継続的にDeepLを利用する場合は、有料版のDeepL Proを検討する価値があります。
| 比較項目 | 無料版 | DeepL Pro |
|---|---|---|
| 想定する利用 | 公開情報などの簡単な翻訳 | 継続的な業務利用 |
| 機密情報・個人情報 | 入力・処理しない | 契約条件、利用プラン、自社の情報管理規程を確認して扱う |
| データの取り扱い | サービス改善のため一定期間処理される場合がある | DeepLは、同意なしにテキストを保存しないことなどを案内 |
| 文書翻訳・用語集 | 利用範囲に制限がある | プランに応じて利用範囲が広がる |
| 組織での管理 | 個人単位の簡易利用が中心 | プランによりユーザーやアクセスを管理できる |
DeepLはビジネス向けのデータ保護について、転送中・保存中のデータ保護、インメモリ処理、同意なしのテキスト保存を行わないことなどを案内しています。詳しくは、DeepL公式のデータセキュリティ情報をご確認ください。
DeepL Proなら何でも入力してよいわけではありません
有料版を使う場合も、契約内容、利用プラン、自社と取引先の情報管理規程を確認する必要があります。特に、法務、医療、安全、個人情報に関係する文書は、社内の責任者へ確認してから利用してください。
海外取引先とのやり取りが多い会社、契約書や仕様書を扱う会社、複数の社員が利用する会社、専門用語を統一したい会社、翻訳量が多い会社は、DeepL Proを検討しやすいケースです。
DeepLとChatGPTの違い・使い分け
DeepLとChatGPTは、どちらもAIを使ったサービスですが、得意な作業が異なります。DeepLは翻訳に特化し、ChatGPTは翻訳に加えて、要約、構成作成、表現の調整などにも対応できます。
| 作業内容 | 向いているツール |
|---|---|
| 英文メールを日本語へ翻訳したい | DeepL |
| 日本語メールを自然な英語へ翻訳したい | DeepL |
| 翻訳後の文章をビジネス向けに整えたい | ChatGPT |
| 長い資料を要約したい | ChatGPT |
| 英語サイトの内容を大まかに把握したい | DeepLまたはChatGPT |
| 海外向けページの構成を考えたい | ChatGPT |
| 専門用語を統一して翻訳したい | DeepL Pro |
たとえば海外取引先へ送るメールなら、まず日本語で内容を書き、DeepLで英訳します。その後、ChatGPTで「ビジネスメールとして自然か」「相手に誤解される表現がないか」を確認する流れが考えられます。
ただし、同じ文章を複数のAIサービスへ入力すると、その分だけ情報の送信先も増えます。機密情報や個人情報を含む文章は、各サービスの契約とデータ取り扱いを確認せずに入力しないでください。
ChatGPTやClaudeなども含めて比較したい場合は、中小企業で使いやすいおすすめAIツールで、それぞれの得意分野を紹介しています。
中小企業でのDeepL活用例
中小企業でも、DeepLを活用できる場面は多くあります。
| 活用場面 | 使い方 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 海外取引先へのメール | 日本語で作った下書きを英訳する | 金額、納期、責任範囲、敬意表現 |
| 海外製品のマニュアル | 全体の概要や操作手順を把握する | 安全上の注意、専門用語、数値 |
| 外国人スタッフ向け資料 | 社内ルールや作業手順を多言語化する | 労務、安全、緊急時対応 |
| Webサイトの英語化 | 会社紹介やサービス説明の下訳を作る | 文化や商習慣に合った表現 |
| 海外から届いた資料 | 内容を日本語で確認する | 原文との照合、権利関係、機密性 |
最初から翻訳結果を完成品として扱うのではなく、概要把握や下書き作成のために使い、人が確認して仕上げる方法が現実的です。
DeepLを業務利用する前に決めたい社内ルール
会社でDeepLを利用する場合は、利用者任せにせず、最低限の社内ルールを先に決めておくと安心です。
| 決めておきたいルール | 内容 |
|---|---|
| 利用を認めるサービスとプラン | 無料版を使える用途と、DeepL Proを使う部署・社員を決める |
| 入力してよい情報 | 公開済み情報、一般的な文章、個人情報を含まない文章など |
| 入力してはいけない情報 | 顧客情報、契約書、未公開資料、社外秘情報、認証情報など |
| 匿名化の方法 | 氏名、会社名、メールアドレス、案件名などを置き換える方法を決める |
| 最終確認者 | 重要な翻訳を誰が原文と照合し、承認するか決める |
| 用語集の管理 | 会社名、商品名、専門用語の訳語と更新担当者を決める |
| 他のAIとの使い分け | 翻訳はDeepL、要約・文章調整はChatGPTなど、用途を整理する |
まずは「無料版へ個人情報や機密情報を入力しない」「重要文書は必ず原文と照合する」という2点だけでも明文化し、社員へ共有することをおすすめします。
情報管理全般を見直したい場合は、中小企業向けの情報セキュリティ自社診断も参考にしてください。
翻訳結果を人が確認すべき文書
DeepLは便利なサービスですが、翻訳結果をそのまま完全に信用してよいわけではありません。DeepLの無料サービス利用規約でも、翻訳結果の正確性は保証されていません。
| 文書の種類 | 確認したい点 |
|---|---|
| 契約書 | 権利、義務、責任範囲などの法的な意味が変わっていないか |
| 見積書・注文書 | 金額、数量、条件、納期が正しいか |
| 技術仕様書 | 専門用語、数値、単位、手順に誤りがないか |
| 医療・安全関連文書 | 誤訳が人の健康や安全に影響しないか |
| 顧客向け公式文書 | 会社の正式な見解や約束と異なる表現になっていないか |
重要文書は必ず原文と照合しましょう
AI翻訳は、翻訳作業を効率化するための道具です。契約、金額、納期、責任範囲、安全に関わる文書は、知識のある担当者や必要に応じて専門家が確認してください。
まとめ|DeepLはルールを決めて安全に活用
DeepLは、英文メール、海外製品のマニュアル、Webサイト、社内資料などの翻訳負担を減らせる実用的なAIサービスです。
一方、DeepLを業務利用する場合は、無料版へ機密情報や個人情報を入力しないこと、利用状況に応じてDeepL Proを検討すること、重要文書を人が確認することが欠かせません。
まずは公開情報や機密性のない文章から使い始め、入力できる情報、利用するプラン、最終確認者を社内ルールとして決めると、安全に活用しやすくなります。
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