悪質データ復旧業者のよくある手口とその対策

 21世紀のITはクラウド化が進み、ハードやソフトが劇的に進化していますが、相変わらず進歩していない分野があります。それは「データの保管ノウハウ」です。そもそもデータの保管移管するノウハウや知識が発展しないため、データ復旧サービスというものが成立してしまうのです。ITAでも需要があるためデータ復旧サービスは行っています。しかし本来は、データは消えてしまってから復旧するものではなく、消えてしまう前に確実にバックアップをしておくものなのです。今回は悪質なデータ復旧業者のよくある手口を解説し、万一データ復旧を頼まなくてはならなくなった時のノウハウをご紹介します。

悪質なデータ復旧業者の手口はさらに巧妙になってきている

データ復旧サービスというものは、そのほとんどが業者の言い値であり、実際に相場価格はあっても、「状況」ごとに価格が大きく変動するのがその実情です。しかし、この「状況」というのが悪質業者の得意とするところで、手口はどんどん洗練されてその被害も後を絶ちません。例えば、データが読み込めなくなった時、ITAでは数万程度で復旧が可能な作業が、O社やR社ではなんと数十万の請求になるケースが多くあります。

以下に悪質業者の手口の一例をご紹介します。
データ復旧をしたい媒体:会社の外付けハードディスク
ディスク容量:2TB (ほとんど全領域を使用中)
具体的な症状:Windows上でディスクが認識しない
データ復旧業者:ネットの検索サイトで検索して1ページ目に表示

データ復旧業者に電話すると「故障した媒体を持ち込んでください」と言われ、言われるがまま、藁にも縋る思いで指定の場所へ持ち込むと、都内の一等地に立つ立派なビルの1フロアに到着。窓のない狭い部屋に案内されて状況を説明すると、ろくに診断もせず、いきなり「はやくしないとデータ復旧ができなくなる」と煽られてなんと30万円の見積りを提示。ここで手持ちが10万くらいしかないと言うと、「では今回は10万でいいです」と即答される。10万でデータが復旧できるのならと思いデータ復旧を依頼すると、今度は契約書を持ってきて「ここにサインしてください」と言われる。契約書の内容をよく読んでみると、気になる点がひとつあった。

「データが復旧できなくても料金はいただきます」

これには納得がいかなかったが、「今やれば即日で復旧できるかもしれません」と言われ、しぶしぶ契約書にサインすることに。それからいったん会社に戻って仕事をしていると、夕方頃にこの業者から電話が入り、データの復旧が終わったとのこと。さっそく復旧データと預けている媒体を引き取りに行き、代金を精算して無事解決!

ところがこの話には後日談があります。

復旧してもらった媒体を返却してもらったので、後日別のデータ復旧業者に電話で相談してみると、とにかく記憶媒体を送ってくださいとの事。すでにデータは復旧できていたので、見積りまでなら送料のみで対応してくれるとの事だったので、さっそく指定の住所に送ってみることに。今度の業者は神奈川県の端のほうにある、ホームページを見る限りではとてもこじんまりとした小さな会社だった。

発送後から翌日には電話があり見積金額を聞いて驚く!見積金額はなんと3万円だったのだ!

嘘のような話ですが、これが悪質データ復旧業者のよくある手口のひとつです。次に悪質なデータ復旧業者のよくある共通点を挙げますので、当てはまる点が多い場合はやめておきましょう。

悪質データ復旧業者の共通点

私が知る限りでは、悪質なデータ復旧業者には以下のような共通点があります。騙された後で、国民生活センターに苦情の電話を入れても、残念ながら支払った代金は一円も戻ってきません。以下の情報を参考にして知恵をつけて、騙される前に悪質業者を見抜く力を身につけましょう。

悪質業者の手口1:復旧したい媒体の持ち込みをやたらと要求してくる

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